ビルピットのこと

 地階のある事業所ビルなどでは、地階から出るトイレ排水や雑排水を、いったん貯めておくための貯留槽(ビルピット)を設けていることがあります。


ビルピットの悪臭と下水管の劣化

 ビルピットに溜められた汚水や雑排水は、ピット内で貯まっているうちに腐敗して、下水道へ排水される際に大量の硫化水素を、周りに放出します。

 硫化水素の発生を放置しておくと、微生物の働きで硫酸が生成し、その腐食により下水道管渠を損傷させ、道路陥没を誘発する場合があることが知られています。

 当然、ビルの地下部分にも影響が考えられます。

定期清掃とメンテナンス

■「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」に規定する特定建築物にあっては、6ヶ月以内ごとに1 回、定期的に地下排水槽等の設備の掃除を行い、あわせて、設備の補修などの維持管理に努めなければなりません。(同法律施行規則第四条の三)

■ 特定建築物以外の建築物であっても多数の者が使用し又は利用する建築物は、特定建築物に準じて地下排水槽の設備の維持管理に努めましょう。

■ 地下排水槽等の清掃時に発生する廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の規定に基づき処理しなければなりません。

ビルピット汚泥の処理には、一般廃棄物産業廃棄物の区分の注意が必要です

 し尿を含むビルピット汚泥は、一般廃棄物であって、一般廃棄物産業廃棄物の混合物ではありません。し尿を含まないビルピット汚泥は、産業廃棄物の汚泥に該当します。

 従って、汚水槽・合併槽などの清掃の際発生するし尿混じりの汚泥は一般廃棄物であり、雑排水槽・グリース阻集器などの清掃の際発生するし尿を含まない汚泥は産業廃棄物です。

 一般廃棄物、産業廃棄物の区分によって通常処理方法が異なっており、一般廃棄物は一般廃棄物処理業者が市町村のし尿処理施設等に搬入することができ、産業廃棄物は産業廃棄物収集運搬業者に運搬を委託し産業廃棄物処分業者に処分(脱水、焼却等)を委託することになります。

 なお、し尿を含むビルピット汚泥(一般廃棄物)し尿を含まないビルピット汚泥(産業廃棄物)を同一の業者に委託する場合には、当該業者は一般廃棄物収集運搬業者(処分業者)その他環境省令で定める者であり、かつ、産業廃棄物収集運搬業者(処分業者)その他環境省令で定める者であることが必要です。